■ 不意の災害に備えて
先日、7月20日の読売新聞の一面に「耐震改修促進のために、改修費1/3助成」という記事が出ました。昨年末の耐震偽装、またその前の新潟の中越地震、インドネシアの大津波の災害など国民の意識が地震対策に高まってきたところでの発表です。
今回は、旧耐震基準の分譲マンションだけということですが、まずは一歩だと私は評価したいと思っています。
■ 具体的な提案の内容
私達は 6 月に終了しました通常国会の会期中、自民党内に「首都圏地震対策議員連盟」を立ち上げました。約 10 年前の阪神淡路大地震の研究・分析を踏まえ、最も大事な課題は耐震改修だとの結論にたどりつき、それを推進するための会です。
東京大学の目黒先生の基調講演をいただきましたが、その中でびっくりする調査内容がありました。阪神淡路の震災では早朝だったこともあり、犠牲者の 87 %が自宅の被害でなくなっています。また、兵庫県監察医の死亡推定時刻では、地震直後 15 分以内が何と 92 %だということです。死因としては窒息死が 53.9 %、圧死が 12.4 %、焼死が 12.2 %という割合ですが、 15 分以内に 9 割以上が亡くなっているということには驚きです。阪神淡路では、自衛隊の救助の出動の遅れが大きな問題となりましたが、たとえ早々に到着しても犠牲者の数を大幅に減少させることはできなかったことになります。
最終的には建物が崩れ、それが理由で亡くなった方は 95 %にのぼるそうです。とにかくこの地震対策が耐震改修にあるということをおわかりいただくには充分な数字ではないでしょうか?
その耐震改修ですが一番の問題点は価格です。今までの国土交通省の基準は、ガチガチに固めてどんな揺れがきてもビクともしない建物づくりを目指していました。すると価格が上がります。目安として RC 製だと 3 万円以上 / ㎡かかると言われており、通常の分譲マンションでは一戸あたりの額が 300 ~ 400 万円と見積もられています。今回はこのうち1 /3 を助成しようというものですが、それでも 200 万円からの手出しを覚悟しなければということになります。
私達は、ガチガチでビクともしない建物ではなく、ひびが入り多少壊れても崩れて人を下敷きにすることはない改修を目指そうとしています。
そのかわり改修費を抑える、大体 60 ~ 80 万円ぐらいにし、そのうちの1 /3 ~1 /2 を何らかの形で助成できないか、それなら多くの人達にも手が届く金額ではないか?普及する価格ではないか?というわけです。ですから、この安価な改修技術の研究開発と普及を、この議員連盟で推進していきたいというわけです。そしてその第一歩が今回の措置ということになります。また今回は耐震偽装の物件に限り、費用を国持ちで住民の合意形成のためのコーディネイターを派遣しますが、この点も大切です。 3/4 の住民の同意がなければマンションの改修は難しいものですが、それぞれ立場・考え方が違い、この合意形成が難しく、この部分を援助することが必要です。一般の場合には、現在は国と地方公共団体 1/3 ずつの補助が出る制度がありますが、これも宣伝をしてうまく利用して欲しいと思います。
しかし、私はこれをきっかけに旧耐震基準の分譲マンションだけでなくもっと広範囲に対象を拡げていく必要があると思っています。不動産は個人の財産なので税金を投入するのはけしからんという意見もありましたが、政府のアンケートの結果、今や 2/3 以上の方は税金投入を認めるという方向であることもわかりました。凶器となる建物を減らすことは国民の利にかなうものだとも言えるでしょう。
その他の対策で私達が議論していくべきことは
1 .災害時のことをイメージできる能力を養う防災教育
2 .ソフト面を指導できる人材の育成
などがあります。
こういった点も重視していきたいと思います。
■ 地震における対策の基本
最後に目黒先生のお言葉を引用させてもらいます。「もしあなたが自宅の下敷きになり地震で死んでしまった時の事をイメージして下さい。あなたの遺族に、子供さん達にどうアドバイスしますか? " お金とエネルギーがあるならば、地震が来る前に有効活用、つまりは耐震改修をしなさい"とアドバイスするでしょう。これが基本なのです。」
