■ 「保育園の一元化」
■ 改革の成果の一つ
さて5年以上にわたって小泉改革が行われましたが、その成果の一つと言えるのが今回取り上げる " 認定子ども園"の施策ではないでしょうか。実際の現場では18:00まで子供を預かる幼稚園も大変増えている一方、「教育」を提供している保育園も多数あります。すなわち、幼稚園の保育園化、保育園の幼稚園化はすでに進んでいるのです。しかし、幼稚園は文部科学省、保育園は厚生労働省が管轄しているので、一つにしようというアイディアが出ても、今まで実現しませんでした。この壁を越えることができたのも、やはり、小泉改革の「すべきことはする」という精神によるものではないかと思います。この保育園の一元化は様々な視点から議論されています。子どもの少ない地域においては、幼稚園と保育園という二つの施設を作る必要がなくなるという点で、行政のスリム化が目指せます。認定子ども園を一つ作れば、それで用が足りるということになります。税金の節約につながります。
■ 子ども園を始点にした地域社会
一方で、都市部で起きている保育園の待機児童の問題に関しては、通園者が減少傾向にある幼稚園の空きスペースを利用することによって、一早い解決が計れるのではないかという議論があります。また、保育園に子どもを預ける場合には、"保育が欠けている"状態が必要だったわけで、これから両親ともが働かなくてはならないときなどは大変でした。「卵が先か鶏が先か」の議論のように、子どもの預け先がないと働き始めることができないのに、保育園では今働いていることを条件として求めてくるわけです。今回の認定こども園では、保育にかけているかどうかが要件とならないので、こういった問題もなくなってきます。そして、今回の認定条件の一つとして義務付けられていますが、認定子ども園が地域における子育て支援を行う基地の機能を果たします。子どもを預けている保護者だけでなく、すべての子育て家庭を対象に、子育ての不安や行き詰まりに対する相談活動、親子の集いの場などを提供することになります。子育て世代の保護者にとって、認定子ども園が、いざという時に頼れる場所になっていけば、それは理想ではないのでしょうか?
この「認定子ども園」は県によって異なりますが、今年 10 月、もしくは、来年 4 月からスタートします。制度をスタートさせるのですから、助成についても今まで幼稚園にしか適用しなかったもの、保育園にしか適用しなかったものも、それぞれ学校法人や社会福祉法人にも適用されるようになります。職員資格も教諭免許、保育士資格を併有する者があたることを原則としながらも、片方しか持たない人もうまく活用していく方法を模索しています。
そして、一番大事なのは、子どもたちに提供される教育・保育の中身です。利用時間の長い短いの違いや、施設に通い始めた年齢にも違いがあるので、細かい対応が必要となります。この部分がしっかりしないと、今まで幼稚園、保育園のいいとこ取りをしようと思ってスタートした「認定子ども園」が、悪いところだけが残ったものになりかねないと考えています。これから、県では具体的な内容を決めていくことと思われますが、皆さんも充分留意していただきたいと思います。
■ 抜本的な対策の必要性
今回の認定子ども園の動きは、働きたいお母さん方が増え、保育の需要が拡大したことと、少子化という社会現象が大きな要因になっていると考えられます。私は今回の取り組みを、対処療法だと考えています。社会がこうなったので対応が必要となったわけであって、社会問題の根本的な解決にはなってないと考えざるをえません。家族のあり方、父親・母親と子どものあり方、日本人としての人生の価値観など、かなり根源に近い部分からの問い直しが、解決のためには要求されると思います。今の情勢に押され、こういう理想の社会を作るべきとの議論は、今の国会でもなされていません。現状の対応も必要ですが、私たちが目指すべき北極星の位置を定める努力もこれから進めていきたいと思います。
