■「驚異的な確率で大地震が」
文部科学省地震調査委員会の長期評価によると、今後 30 年以内に震度 6 以上の大地震に見舞われる確率は宮城県沖 99 %、首都圏直下 70 %、東海 86 %、東南海・南海 50 ~ 60 %と太平洋沿岸に連なっています。 95 年当時の兵庫県南部地震が 0.02 ~ 8 %であったことからも、これらの確率が驚異的な値であると言えます。つまり日本は震度 6 以上の大地震がいつ起きてもおかしくない状況です。
■ 防災家・防災街・防災都市づくりを!
これらの研究から私たちは地震が起きることを前提に考え、被災した場合の対応を予め準備しておく必要があります。そこには過去の震災の教訓を活かしていかなければなりません。
具体的に最初にやらなければならないことは「防災家づくり」、つまり全ての建物の耐震補強をすることです。この点に関しては時報紙 8 月号においても主張させていただきました。阪神淡路のデータを分析すると死亡者の実に 9 割が崩壊した建物の下敷きになり、しかも地震発生 15 分以内に死亡していたことが判っています。このような地震の揺れによる一次災害を減らすためには、例え壊れたとしても、絶対に崩れたり潰れないように建物を補強しておかなければなりません。同時に家具等の固定を徹底することも重要です。今までより安価で行える耐震補強の技術と国土交通省の基準の変更を目指していきたいと思います
そして次に「防災街づくり・都市づくり」が火災などによる二次災害を防ぐとともに、地震直後の救助活動に有効となります。道路や公園などの整備によって充分なスペースを確保することで円滑な救助活動が可能となり、また火災などの拡大を防げるようにもなります。
しかも単にスペースをとり、単に広げただけでは機能的でなく、街を設計する段階から防災対策を取り入れていく必要があります。と同時に、日頃からその内容を住民に広く知らしめる努力を継続すると共に、各自治体とも緊密な連携をとり実践的な訓練を積むことも必要とされます。
"忘れた頃にやってくる"のが災害であり、被災後の活動に慣れた人というのは原則いないはずです。実践的な訓練を通じ被災時の状況を想像しパニックに陥ることなく適切な対応を取れる準備が必要です。
そして人材育成です。特に地震災害時は被災地周辺一体が救助を必要としている状態です。自治体がすべての地域の救助を一斉に行うことも不可能です。その自治会なり町内会で数人は被災時にリーダーとなれる人材がいないとパニックになったり混乱がよりひどくなります。
もう一つ被災後の対応で大切なこととして「関連死」の問題があります。阪神淡路や新潟中越では運よく助かった命が避難生活の途上に身体的あるいは精神的ストレスによって失われてしまうという悲しいことも起こっています。被災後の対応についても研究が進んできており、ライフラインの早期復興、高層住宅難民の対応などたくさんの問題が指摘されています。
■ お金をかけずにできることから!
そして最後に、今回注目されたことをご紹介します。阪神淡路大震災の死亡年齢分布で 50 歳以上の方々の被害と同時に、 20 ~ 25 歳の若者の被害が突出しているという点です。これは 81 年以前の基準で建てられた耐震性の低い建物に居住していたことが理由として挙げられます。 50 歳以上の方々は昔から住んでいた自宅で、 20 代の若者は古い安アパートで被害にあいました。自宅であれば耐震補強をする自己責任もありますが、若者たちが古いアパートを耐震補強することはありません。
現在、国土交通省では建物の耐震強度の審査を受けさせその表示義務を不動産の表示基準に加えようとしています。しかしそれ以前に耐震性の有無を広告に載せるだけで親たちは危険なアパートに子供を住まわせることはないだろうし、大家さんが自主的に耐震補強をするようになるだろう、という意見もあります。お金をかけずに今直ぐやれることとして、これから「首都圏地震対策議連」で取り上げていくことになりましたので、今後の動向も別な機会にご報告していきたいと思います。
