■現実に即した議論を
第165回国会、平成18年の臨時国会も4日間延長されて85日間の会期を終え12月19日に閉会となりました。
この国会中10月の国政の補欠選挙、福島、沖縄、和歌山の各県知事選挙などの重要な選挙がありました。その度に野党は国会運営を利用しようとします。
特に顕著だったのが沖縄県知事選挙直前でした。教育基本法を改正しようとしている民主党と改正反対の共産党が国会で対立しないために採決することに反対して審議拒否 をしたり 、同様に今回のテーマである防衛庁の省格上げ法案の審議も本会議では賛成しているにも関わらず共産党との共闘のためにボイコットしました。野党の行動はまったく理が通らないと感じざるをえませんでした。私たちは責任政党としてこのような行動は決してとりません。
■自国の防衛、災害派遣、海外活動も
法律としては、教育基本法の改正が焦点 となりましたが 、地方分権推進法やパロマ法案と言われるメーカーの義務を規定する法案なども成立しました。それらの中でも重要法案の一つが防衛庁の省格上げ法案です。今回の法案成立で平成19年1月9日より施行 されることになりました。
この省昇格は防衛庁関係者には悲願でした。私は特に昨年 、北朝鮮のミサイル発射実験、核実験の実施や偽米ドル札疑惑、拉致事件などのゲリラ行動の報道 などを見聞きし 、日本国民も自国の防衛体制についてしっかり考えるべきだと思いました。北朝鮮のミサイル発射実験があって初めて日本上空へのミサイル攻撃に対し何の対抗措置もとれないことを多くの国民が知り、PAC(ミサイル迎撃システム)の配備も前倒しで行うようになりました。今まで戦闘の匂いのする事柄に対してタブー視されてほとんど議論がなされていませんでしたが、省昇格を機に現実に即した国民的議論が望まれると思います。
そして以前より思っていることですが、私は自衛隊というものをしっかり国民に認知してもらうべき、陽の目を見させるべきだと思っています。日本国の防衛を担っている現実と、災害救助の実績を見れば自衛隊が私たちの生活を支えてくれていることは 疑いようもありません 。
平成 7 年以降約10年間の国内災害派遣の実績では出動が約9000回延べ 237万人もの隊員が従事しています。にも関わらず"火力は持つが軍隊ではない"状況の中で長い間野党第一党に違憲だと非難をされ続け、正式な機関としての国民の認知がしっかりされてこなかったのではないだろうかというのが私の問題意識です。 国民が認めると同時に自衛隊員にはこれまで以上の誇りを持って任務を遂行して欲しいと思います。今回の法律成立に際し期待することの一つです。
今回の法律では大きく2つのことが変わってきます。
1つ目は組織上のことです。今までは国家公安委員会と同じように長は大臣扱いでありますが、内閣府という役所の外局の1つでした。この状態だと防衛庁として財務省に直接予算請求もできません。国の防衛に関する重要案件や法律の制定、幹部人事についての審議を行う閣議開催の請求もできません。また海外の国々では防衛を担当している機関は省扱いなので日本だけ外局では釣り合いが取れず、交渉などもやりづらいとの現場の声もありました。それらを変えスピード感ある責任の所在のはっきりした対応をさせるということが1つ目の変化です。
2つ目は、海外活動が付随的任務から「本来任務」となることです。すでに国連平和維持活動 (PKO )や復興支援のための海外派遣など約20回、延べ3万人の規模で行ってきています。イラクへの陸上自衛隊の派遣も地元の イラク国民と各国の高い評価を受けて昨年終了したところです 。
私は特にこの点、日本に求められる役割の変化、また日本が占めている、これから占めようとしている立場を考えればとても重要だと思います。先の大戦後、欧米は二度と日本が世界の中枢へ出てこないよう敗戦処理を進めました。国連に日本が該当する敵国条項が残っている点から見ても連合国が主導する国際社会は日本を除け者にしようとして今までの国際政治は行われてきました。
しかし、冷戦を経て様々な歴史の積み重ねで日本は国連負担金をアメリカに次ぐ2番目に払う国、全体の約 1/5も負担する国となりました。ましてや敵国である日本が常任理事国入りを目指す運動をするなど驚天動地の現象もありました。
今まで相手にしないようにしてきた日本に対し、先進諸国も第 3 世界の国々も国際社会の中で役割を求めてくるようになりました。これらの要求に対し日本は応えないわけにはいきません。応えるとするとやはり自衛隊にしっかり働いてもらわなければならないということになります。ですからこの改正はとても 大切だと思うのです。
■日本は軍事大国になりません!
最後に付け加えさせていただきますが、省昇格により"戦争"のしやすくなる国になると心配される方もおられますが、そんなことはありません。防衛政策の原則も今まで通りですし、文民統制も変わりません。海外派兵の禁止も引き続き行われます。
決して軍事大国化するためのものではないということを国民の皆さまにご理解いただきたいと思います。
