■美しい国づくりの基本は教育
政府が最重要法案と位置づけている教育再生関連法案の審議が「教育再生に関する特別委員会」で行われています。政府案は①副校長や主幹教諭などを置けるようにする学校教育法改正案②教育委員会の責任体制の明確化や、教育における国の責任の果たし方を定める地方教育行政法改正案③教員免許に更新制を導入し指導が不適切な教員に関する規定を整備する教育職員免許法改正案、の3法案です。これらは昨年 12 月 15 日第 165 回臨時国会において成立し、 12 月 22 日に公布・施行された新しい教育基本法の考え方をさらに具体化させたものです。
安倍総理は「私の『美しい国』づくりの基本は教育だ。教育再生に全力で取り組む決意だ」と、その意気込みを強調していますし、伊吹文部科学大臣は「国民から信頼される教育行政にするには、教育委員会が高い使命感を持ち、国が責任を負える体制が必要だ」と述べ、法案の早期成立に理解を求めています。
■ 評価できる内容
学校教育法改正案では、幼稚園から大学までの目的・目標が見直され、また新たに義務教育の目標を定めています。「規範意識、公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画する態度」や「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度、他国を尊重し国際社会の平和と発展に寄与する態度」などとともに、私が昨年 6 月の時報紙で一定の評価をした"環境"に関する考え方も、「生命及び自然を尊重する精神、環境の保全に寄与する態度」として入っております。
現行法では学校の種類を規定した順序が、小学校、中学校、高校となっており幼稚園は大学の後となっておりました。これを改正案では幼稚園、小学校、中学校......と幼稚園を最初に規定しました。改正教育基本法でも幼児教育の項を設け、その重要性を強調したところです。これは 3 人の幼い子どもを育てている私も実感するところです。小さい頃からの教育は、もちろん家庭や地域で行われるものですが、同じ年齢の、もしくは年上年下の他者とふれあい、社会を形成していく場は小学校より前に幼稚園です。小学校で、おとなしく座っていることができない、私語が止まらない、挙句の果てに学級崩壊が起こっているところがあります。これは、きちんとした幼児教育を受けなければいけない時に、「きちんと座る」「人の話を静かに聴く」ということなどを教えられなかったから起こるのだと言われます。
また、校長を助け公務をつかさどる副校長、校務の一部を整理し児童生徒の教育等をつかさどる主幹教諭、他の教諭に対して必要な指導・助言を行う指導教諭という職を置くことができるようになります。これにより今まで孤立することもしばしばあった校長を助ける管理側のスタッフを増やし、一般の先生たちに必要なことがらが指導できるようになるのは評価できます。
■ 教育委員会のあり方
教育委員会のあり方に関しては多くの方が疑問を持っておられるかと思います。いじめ問題では北海道滝川市の小学校6年生の女児がいじめをうかがわせる内容の遺書を残して自殺した際に、市の教育委員会は、その遺書の存在を知りながら事実を認めるまでに一年以上かかったということがありました。また必修科目の未履修問題では学校側から虚偽の報告が挙がっていたにもかかわらず、それに気付かない、あるいは黙認していたとして非難を浴びました。そこで、地方教育行政法改正案では、地方分権に引き続き配慮しつつも、教育委員会の責任体制を明確にし、さらに活動状況の点検・評価を行うこととしています。教育委員会の法令違反や怠りによって、「緊急に生徒等の生命・身体を保護する必要が生じた場合」に文部科学大臣は是正・改善の「指示」ができます。また「生徒等の教育を受ける権利が侵害されていることが明らかである場合」に「是正の要求」ができます。最終的に国が教育に責任を持つという態度を明確にすることになるのです。
■ 教員免許の更新制
教育職員免許法改正案では、教員免許状の有効期間を 10 年と定めます。そして更新制とします。 10 年ごとに 30 時間の免許状更新講習を修了したことの確認を受けなければなりません。講習を修了できなかった場合、免許状は効力を失います。
また関連する教育公務員特例法で、指導が不適切な教員の認定及び指導改善研修の実施等を定めています。これらは任命権者の独断で行われるわけではなく、「教育や医学の専門家や保護者などの意見を聴いて」行われることになっています。指導改善研修中の教員は、前記の免許状更新講習を受講することはできません。研修終了時には改善の状況について認定を行い、それでも不適切であると認定された場合には免職等の措置がとられます。
■ 公教育の質の向上のために
お子さんをお持ちの方は、この 4 月に新学年を迎え、新しい担任の先生がどんな先生であるかに非常に関心を抱かれたことと思います。親であればいい先生であって欲しいと願うのは当然です。しかし、現実には指導が不適切だと認定される教員がいるのです。
そんな先生に指導改善研修というチャンスを与えるわけです。それでも改善が見られないというのなら、辞めていただくことになります。ただし、これは辞めてもらうのが目的ではないのです。一定の緊張感を持ち、公教育の質を上げていくことが目的なのです。昨今拡大していると言われる公立と私立の学校間格差の問題、またどのような教育を受けたかによって広がっていくと言われる格差社会の問題を是正していくことにも寄与すると考えます。こうした改正を続けながら、今後は頑張っている先生を応援し、きっちりと評価されるようなシステムも作り上げていくことで、さらなる教育の質の向上が図られていくようにしていく必要があります。
