私たちは公共の電波に乗せられて放送されたものは信じるのが普通です。ところが今回、視聴率を獲得するためだけにねつ造した虚偽の内容が平気で放映されていたことが判明しました。これは多くの方にとって大変衝撃だったのではないでしょうか?このようなことを二度と許してはいけません。
また、NHKに対する問題も、受信料の問題だけではなく、根本的なところから改革しなければいけないところにまで来ています。
今回はこういう放送の分野における問題解決をはかるとともに、通信技術の発達とともに日々変わりゆく環境に合わせた対応も含んでいます。ワンセグと言われる分野への対応、ブロードバンドを利用したNHK番組アーカイブの提供、認定放送持株会社制度の導入などがそれに当たります。
■ ねつ造番組を流した放送局に対して再発防止計画の提出を求める行政処分の新設
今回提出された放送法改正法案では、虚偽の放送で事実を誤認させ国民生活に悪影響を及ぼすか、その恐れがある場合に再発防止計画の提出を求めることができると規定しています。菅義偉総務大臣は改正案の趣旨説明の中で、この行政処分は放送事業者がねつ造などを自ら認めた場合にのみ適用することや、放送界の第三者機関である「放送倫理・番組向上機構」(BPO)による再発防止に向けた取り組みが機能している間は適用しないことを明言しており、配慮を示しています。
これまでは、テレビ局が問題を起こした際、総務省は警告や注意などの行政指導しかできませんでした。しかしこれは法的拘束力を持たないのです。では、もっと重い行政処分を、となると電波法に基づく停波や免許取り消しがありますが、これはさすがに厳しすぎるとの声があり、これまでに適用されたことはないのです。よって、重い行政処分と結果的に軽くなってしまっている行政指導との中間にあたる規定を設ける狙いがあるわけです。
■ NHK経営委員会の機能強化
一方、NHKに対してはガバナンス(企業統治)強化として、これまで形骸化していた経営委員会の監督権限強化や、監査部門の強化などが盛り込まれています。
NHK経営委員会はNHKの経営方針や業務運営の重要事項を決める最高意思決定機関です。会長の任免をはじめ、予算や事業計画などを審議、決定する権限があります。メンバーは12人からなるのですが、これまで全員が非常勤だったところを3人程度常勤とします。NHK側は常勤の経営委員の人数を極力減らそうと考えていたようですが、常勤化の方向が打ち出されています。
そして、NHKの会長・副会長・理事によって構成される執行部への監督権限を明記し、「経営の基本方針」や「コンプライアンス(法令遵守)体制」の決定を議決事項に追加し、執行部からの職務報告を義務化していきます。
監査委員会はこれまでの監事を廃止して設けられ、不正経理をチェックする外部監査制度も盛り込まれています。
また、NHKの国際放送には命令放送制度というものがあります。総務大臣が放送の区域や事項などを指定して短波ラジオ国際放送の番組内容を編成するよう命ずることができるというものです。昨年10月に菅総務大臣が北朝鮮による日本人拉致問題を重点的に扱うよう命令することを検討する考えを示していました。
今回の改正では、「命ずる」との文言を「要請する」と改め、NHKはこれに応じるよう努めるものとする、としています。
■ 残る課題
今回の改正案では、焦点だったNHK受信料の支払義務化は、NHKが受信料値下げの具体案を提示しなかったことから見送られました。NHKが料金体系の見直しを含めた新経営計画を作る9月以降に再検討されることになっています。菅総務大臣が「地元の横浜に帰ると、支持者から受信料を払っている人と払っていない人の不公平を何とかしてくれと強く言われる」と語っておられます。私も同じ思いです。国民の皆様の不公平感を少しでもなくしていけるよう取り組んでまいります。
