人吉をブランド化
~豊かな自然環境を生かして~
先日の国勢調査で、人吉市の人口も多少、減少していることが判明した。都会への人口流出が続いている証拠でもある。この人吉に人々が住みたくなるような魅力を生むためには、どうしたらいいか。私なりの試案を提案してみたい。
■都会に勝つ必要なし
人が住むということは、住む人が何かしらのメリット、価値を地域に感じるからである。ならば、人吉はどのような価値を市民に提供するように取り組めばいいのか。この設定が大事である。
このことを考えるとき当然、人吉が都会に較べ優位性を持っている部分を、現在のニーズに合わせて磨いていくことが必要である。都会と同じ面で競争しても勝てる見込みはないし、勝つ必要もない。
では、人吉にあって都会にない資源とは何か。それは、温泉であり、おいしい水であり、自然環境であり、あたたかい人情であり、相良700年の由緒ある歴史である。これらの資源を別々に売るのではなく、一つの方向性に関連づけて磨いていかねばならない。
その方向性を私は、「健康と安心のまち、環境モデル都市 ひとよし」とうキャッチフレーズで提案したい。
■衣食住足りた日本の課題
日本は、衣食住足りてこれからは、"より良く"生活するということが国民の最大の関心になっている。それを表す「アメニティ」という言葉が、巷で大流行したことも周知の通りである。逆に言えば、それだけ今の世の中、快適に暮らすことが難しいということの裏返しでもある。「食」の危機、地球環境問題、超過密、水不足等々、現在直面している問題は種々様々である。近い将来には「安全」ということが、国民の要求するもっとも重要な価値となる可能性も低くない。
しかしながら、人吉が持っている資源を、特にコミュニティーの力を十二分に発揮すれば、これらの問題を乗り越え、国民が求めている「アメニティ」あふれるまちづくりも決して絵空事ではないと思う。
食、環境衛生、教育、都市計画、福祉、健康・スポーツ、労働・生活環境などの各分野での優位性を有機的に結びつけ、広がりを持った取り組みとして行っていくべきである。
たとえば・・・
食では、有機農業地区として食品の安全性を強調すると同時に、家庭菜園制度を導入し、希望者には自ら安全な食べ物が栽培できる体制をとる。環境衛生では、市民総参加のリサイクル運動を展開し、ごみ減量と資源節約を実施。また、「市民ができる環境にやさしいルールづくり」を行い、水や自然に配慮した市民生活を提案していく。教育では、各教科をこなす総合的な能力開発に関する教育を行い、また、相良七百年の歴史上の人物を題材に使った道徳教育、その他を実施する。
その他、高齢化社会に向けて、高齢者にやさしい都市計画(歩行者用の信号を長くするとか、段差を少なくするなど)、県内でも高い組織率を誇るボランティアを生かした福祉制度の創設、グリーンエネルギーの利用、アウトドア・スポーツのメッカ化などである。健康と安心というテーマを前面に押し立てて、総合的に全国のモデルとなるような取り組みを実施するのである。(これこそ本当の意味での日本一づくり運動ではなかろうか。)
■地域固有の資源を武器に
最終的には、「人吉=安心」とうイメージを確立させることを目標につちづくりを行い、世間に認識してもらえば、一種のブランドとなり、人吉の価値が高まることは確実である。その価値が人吉の魅力となり、人々を人吉に引きつけるようになる。
人吉には、都会に対抗できる多くの武器がある。現在、錆びついているその武器を磨くのは難しいことかも知れないが、人吉市民の底力を考えれば、私はすばらしい街づくりが可能であると信じるのである。
日刊人吉新聞(1991年4月16日)より
