今はふんだんにある自然の使い方、遊び方についても、誰も知らない状態である。相良700年の歴史といっても、その長い歴史の中で、何人の先人の名前を知っているだろうか。温泉もどれだけ使っているだろうか。観光客に売り込む前に、自らにとって使い良いものにしていく努力が必要だ。
■人吉の郷土料理とは
観光客にとって、人吉の郷土料理というのは何であろうか。考えてみても、ない。これは絶対、作る必要がある。では、人吉では、そのような題材は何か。そこで、提案だが、つぼん汁はいかがだろうか。
聞けばつぼん汁というのは、けんちん汁のようなものではあるが、球磨郡市内だけでの呼称だそうだ。また、作り方と味も、一軒一軒個性があり、違うところに特徴がある。つぼん汁こそ、人吉の味だという人ももいる。これをテーマに「つぼん汁ウィーク」を作るのである。
この期間中は、各旅館は赤飯とつぼん汁を提供いただく。できれば、市内の食堂までも赤飯とつぼん汁に協力いただければありがたい。そして、この時期に来た観光客は、朝、昼、晩と別々の味付けのつぼん汁を食べてもらうことになる。
また、つぼん汁食べ較べ、一般応募コンテスト等の催し物もしていく。この中には、変形つぼん汁としてフランス風、中華風を入れてみてもおもしろい。つぼん汁は人吉の味として、定着する可能性を持っていると思う。
■温泉地として人吉は?
人吉の温泉は湯煙りが出ない。温泉らしくない。これは決して、マイナス面だけではない。こういう珍しい温泉は、これで売れる。つた、無色透明、無味無臭、こんなに素直な温泉は、いろいろな使い方ができるのではなかろうか。そのうえ、飲んだら胃腸に良いという。
■温泉を食べる・温泉を飲む
料理に使える温泉というコンセプトを、これからの人吉の温泉の利用方法にしたらいかがだろうか。温泉から作る焼酎が出来たらしいが、ほかにも湯豆腐に温泉を使う、デザートに温泉を利用したゼリーを提供する。その他にも、考えればいろいろあると思う。それらを健康食品として売り出せば、おもしろい展開が期待できるのではなかろうか。
また、人吉の公衆浴場もすばらしい資源だと思う。昭和初期の映画に出てくるような雰囲気の公衆浴場がまだあるのであるから、いっそのこと徹底して内装を昭和初期に変えてしまったらどうだろうか。今はただ古いだけで、手入れをしていないので魅力がないが、きちんと手入れをして、室内の文字なども古い漢字にして右から左に書けば、がらりと雰囲気が変わる。横たわるための浅い浴槽も、私は人吉で初めて見た。これもいいアイディアだと思うのだが。
日刊人吉新聞(1991年4月17日)より
