自民党衆議院議員 神奈川県第5選挙区(戸塚区、泉区、瀬谷区)さかい学
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(2007/12/21  )

 月刊誌「地域から日本を変える」(1993年3月号)

 

 シリコンバレーが今、危ない。官民一体の活性化計画は同地の将来を切り開けるか。

 1970年代、世界に名を轟かせた半導体産業のメッカ、シリコンバレーは、今、大きな曲り角に立っている。 急激な人口増加と経済成長により、物価が上がり、住宅の価格はそれ以外の地域の150%以上にもなり、自宅が持ちにくくなっている。また、交通渋滞、産業汚染発覚(27以上の毒物廃棄場が汚染源として処理が必要な状態である)などで、生活する土地としての魅力が落ちている。

 そのため、バレー外の新興地域に移る企業も出始め、バレー内の雇用数はここ1年で、15%ほども減り、経済成長も鈍っている。(ここ5年間で、軍需産業からは6億ドル、NASAからは1億ドルの受注が減っている)

 逆に新興地域である、オースチン(テキサス)、ポートランド(オレゴン)、フェニックス(アリゾナ)などはシリコンバレーをお手本に最先端の技術に対応して産業育成を図っている。 こういった地域では、技術的にはシリコンバレーに及ばないとされるものの、物価、土地、自然など生活環境ではシリコンバレーをはるかにしのぎ、有望地域といわれている。

■官民で地域発展図る

 この危機感がから産まれたのが、1992年1月より始まっている「ジョイントベンチャー・シリコンバレー」プロジェクトである。

 これは、このシリコンバレー内にある研究所、SRIインターナショナルをコンサルタントに、シリコンバレー内の企業、行政が共に手を取り合い、新しい地域を創造しようという試みである。

 この試みの特徴は、シリコンバレーの産業を単なる経済的なものとしてのみ捉えるのではなく、地域全体として、しかも1つの行政単位ではなくいくつかの行政単位にまたがる地域の問題として捉えるところにある。

 こうすると、企業の発展が、雇用につながり治安も安定し、地元経済も活性化する。税収は増え、インフラ整備が進み、住民は質の高い生活を保障する環境整備が進むことになる。

 また、行政が協力することにより、その企業の活動がやりやすくなるよう規制を変える(5万平方フィートの土地の認可を受けるのに、以前は、5千㌦の手数料と3~4週間の時間があれば認可を受けられたのに、現在は、20万ドル以上の手数料と1年もしくはそれ以上の時間がかかる)、企業が競争力をつけられるようにする、企業活動に伴う地域へのデメリットを減らし(公害であるとか車の渋滞など)、その結果、住民にとっても住みやすい街が出来上がるという青写真である。

 SRIの政治アナリスト、キムバリー・ワレシュ(28)は言う。「このプロジェクトには数千人の人々が参加していること、プロジェクトにかかる費用、約100万ドルをこの不況時に全て民間から集めたこと、単なる分析ではなく実現性を第1に考えて進めていることなどが特徴として挙げらます」。

■3つの未来像

 SRIインターナショナルは3つのシリコンバレーのシナリオを描いた。

 1つ目は、「ハイテク・マンハッタン」計画。シリコンバレーには、企業の本社機能のみが残り、生産部門がなくなる。企業は栄え地域経済は見放されるというシナリオである。生産部門がないため、企業の地域内での収益性は上がるが、雇用はなくなり地域は崩壊し、衰退するという。

 2つ目は、現状のままのシナリオである。これは、企業の構造改革が進み、地域内では高付加価値製品のみの生産が行われるというものである。

 この場合、企業は地道に活動を行っていくが、チャレンジ精神に欠ける。地域は雇用者数が1990年の7割程度に落ち、いきなりではないが、活路を見だし得ないまま徐々に疲弊していく。

 最後の「アメリカン・テクノポリス」と名づけられたシナリオが「ジョイントベンチャー・シリコンバレー」が目指す方向である。つまり、企業は地域を考え、地域は企業を考慮に入れ、双方にとってダイナミックな未来を目ざそうと言うのである。

 このシナリオによれば、企業は新技術や新分野開発などで活況を呈し、それにより優位性を保つ。地域は、企業の新分野展開により、雇用は増え、一人当たりの所得も微増、持ち家の値段も固定され、物理的なインフラも整備されていくというものである。

 果たして企業と行政が折り合える合意というものは形成可能なのか、今まで競争相手だった企業同志がどこまで協力しあえるかといった疑問もある。 しかし、危機感という風を帆に受け、ジョイントベンチャー・シリコンバレーはすでに動き出している。

 現状を追跡、報告、分析する第1段階を終え、官民間に共通のコンセンサスを構築し、実行可能な計画を作成する作業にとりかかっている。

 ジョイントベンチャー・シリコンバレーの1回目の会合は昨年10月の半ばに行われた。今年6月にこの企画は終わる予定である。ここで提出される青写真に沿って、シリコンバレーの復権が見事成功すれば、ふたたび世界の類のない例として脚光を浴びることは間違いない。

 そういう意味では、多くの画期的な発明とその実用化により世界のコンピューター産業を先導してきたシリコンバレーの真価が、今ここに試されているとも言えよう。

 

月刊誌「地域から日本を変える」(1993年3月号)

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プロフィール さかい学

昭和40年9月4日生まれ42歳。
自民党衆議院議員。
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