今回の年度末の民主党の対応は、あまりにも度が過ぎてひどいものでした。その点を、マスコミも十分報道しません。
今まで、このブログで他党の批判は書いてきませんでしたが、今回は私たちの立場、そして実際をご理解いただくためにも少し書かせていただきます。今、民主党は、参議院という大きな拒否権を持っているがために、この拒否権を最大限に使う戦略をとっています。それは、とにかくこの拒否権を使い、たとえ国益を損なっても、国政に混乱を生じさせ、その責任を与党に取らせて支持率を落とし、次の選挙に勝つという戦略です。
国政の混乱の責任は、何があっても当然、政府・与党が引き受けます。しかし、民主党も参議院で拒否権を持っているという事実に対して、責任を担うのが本筋だと私たちは考えます。
■日銀総裁人事にみる野党の責任意識
たとえば、日銀総裁の人事。人事の提案権は政府にあるから人事案を勝手に出して来い、でも話し合いはしない、という態度は責任あるものとはいえません。また、小沢代表は、武藤敏郎副総裁(当時)でいいというメッセージを与党に送っていたにもかかわらず、民主党内の有力者の反対で突然認めないという態度に変わったといわれていることも報道されていません。
提案した人間が不祥事などを起こせば、その責任は政府が負うというのがこの場合の政府の責任であり、拒否権を持つ党と事前の話し合いをするのはごく当たり前だと私は考えます。それを、拒否しづらくなるから、一切話し合いをしないという民主党の態度は、党利党略と言わざるを得ません。
すでに3月1日の朝刊に、「日銀総裁に同意する環境にない」という複数の幹部の発言が載っています。誰であろうと、ハナから認める気がなかったという何よりの証拠です。
また、「財・金分離の恐れ」を理由に反対ということでしたが、総裁ポストが空白のために生じるマイナスとを天秤にかけてみて、その理由だけで武藤氏を拒否する選択をするというのは、党利がかぶっているからとしか思えません。日銀総裁のポストは世界への日本の顔であり、国内の政府系金融機関のトップより格上といわれています。財界も金融界も、人材不足というのは、廣瀬千秋氏をはじめ、マスコミも指摘をしているところです。
逆に、適した人材がいるなら挙げてくれと言っても、「話し合いはしない。提案権はそちらにあるのだから、勝手に考えろ」と言って、提案してきません。それもそのはずで、民主党も適任者を見つけ切れていないと私は感じています。
この日銀総裁人事案件など、民主党がいかに責任を負っていないかという明らかな例だと思います。
■野党の暫定税率議論
また、次に責任を負っていない態度で混乱を生じさせようとしていると思うのは、ガソリン税の暫定税率廃止の主張です。1ℓあたり約25円を下げるのは、明らかな減税ですから、国民は喜びますが、それによって生じる2.6兆円という歳入欠陥をどう対処するのか、そこを示さなければ無責任ということになります。無駄遣いをなくせば、2.6兆円を生み出せると主張していますが、そんなに簡単ではありません。2.6兆円とは1億円の2万6000倍です。先日、桂町戸塚遠藤線の開通式がありましたが、片側2車線あるこの道路の費用が、20年弱かけて134億円(うち道路特定財源からは67億円)だそうです。2.6兆円とは、そういう規模の額です。
また、平成20年度の予算案における道路特定財源の国-地方の税収見通しは、5兆4000億円でした。2.6兆円とは、その約半分です。無駄使いをなくすだけで、半分もの割合を削れるとは考えられません。もちろん民主党もホームページの中でどのようにコスト削減をするかについて言及していますが、到底2.6兆円には届きません。
■議長斡旋の意味
そして今回のドタバタで私が最も遺憾に思っているのは、民主党が1月30日に衆・参議長が行った斡旋内容をあっさり無視し、年度内に一定の結論を得なかったことです。衆・参の議長というのは、行政、立法、司法の三権の長の一人で、三権分立の日本の中で、立法府の長です。総理大臣や最高裁の裁判長とともに、日本を代表する人です。その権威をものの見事に民主党は無視をしました。議長の権限を守るためには、辞職しかないと私は考えます。
今回の斡旋無視の民主党の理由は、「衆議院での審議が不十分なまま、強行的に衆議院を通過させた」というものです。しかし、今年は中央公聴会だけではなく、予算委員会で初めての地方公聴会も開催しました。総理を呼んでの集中審議を4回も行い、結果として昨年よりも20時間近く審議時間を多く取りました。私たちとしては通常より丁寧に審議を行ったと考えていますが、これは主観の問題でまだ不十分だ言われればそれを否定することはできません。最終的にはどちらの認識、判断が正しいかを、国民のみなさんに判断してもらうしかありません。結局、時期の問題で、年度内に予算成立が決まってしまう3月2日以前の採決が、民主党は認められないのです。審議の中身の問題ではありません。
結果、参議院では歳入関連法案は1ヶ月も棚晒し。一回も審議をしないという、お粗末な状況が現出しています。
テロ特措法では、衆議院の委員会でオープンな議論をと、あれだけ声高に主張していた民主党が、今回は参議院では1ヶ月間1度も委員会を開かない。ちなみに、テロ特措法案を作るときの小沢代表の指示も、良いものを作れではなく、「与党が乗れないもの」つまり、現実離れして、無茶苦茶なものを作れということだったそうです。前原前代表が、表現は違いますが、文芸春秋で告白していました。
今回の暫定税率廃止、2.6兆円の歳入欠陥も、与党が再議決で再び税率を上げるしかないことを見越しての主張だと考えられます。
前国会では、参院で多数決で証人喚問を決めるという前代未聞の事態が起きました。しかも、それは大臣であり衆議院議員である人間を、衆院で喚問せずにいきなり参院でという、現国会法上初の数による横暴でした。改めて、私たちがしっかりし、同時に筋を通した正論を、声を大にして主張していかねばならないと思いました。また、現在の憲法や国会法などが、こういうねじれ状態を想定していなかったことも明白になりつつあります。どの政党が運営しようが、衆・参の支配政党が違う場合、強大な野党の拒否権により、国会は停滞します。これも、国会改革の一環として、当然議論していかねばなりません。
そして私たちは、決して国益から目を離すことなく、政治を行っていきたいと思います。国益という視点を入れれば、今回の一連の流れの中での判断もおのずから見えてくると思うのです。来年からは、一般財源化すると総理が提案しているのですから、今ここで無茶をし、混乱を生じさせるという選択には、国益の姿が見えないと私は思います。
